新世紀の生き方、物語の世界

栗本慎一郎の経済人類学、白川静の漢字学、日本の古代史、日本人の起源論、小説や好きな本の話題など書いていきます。何ですが、ニュースとか、ネットの話題も多いです。

発言小町の釣り師と、小説を面白くする方法

読売新聞のQ&Aサイトで『発言小町』という奇跡のコミュ二ティがあります。詳しくは下のブログを見てもらえれば、わかると思いますが、僕もかなりはまりました。

家族関係の相談をして、読者がそれに答えるというサイトになっています。このサイトは主婦を中心に、非常に人気があり、ある意味、常に炎上してる相談があったりします。


◇ 元トピ職人の解説など

◇ 元トピ職人の解説など • このBlogについて(詳細)

◇ どうして発言小町で釣り師が釣りを続けるか。釣り師視点での解説 - Togetterまとめ

◇ 「発言小町は釣りばかり」という誤解と、釣りばかりが人気になる理由 - Togetterまとめ




発言小町』には、このブログの管理人であるトピシュさんによれば、ごく少数ですが、『釣り師』といわれる、架空の相談をする人がいるそうです。

この『釣り師』は、閲覧者コマッチャという読者の反応を予測して、読者が叩きたくなって、炎上しやすいような相談を投稿します。

それを見て、『釣り師』は読者の反応を見て、楽しむ訳ですが、一説にはこういうことも言われています。

 

 

よく、釣り師は小説家を目指している人がやっているんじゃ?というのも目にしますが、それは買いかぶりだと思います。コマッチャのマジレスがあるからこそ、釣り師の文章は面白いんです。釣り師に必要な能力は、どの追加燃料をいつ投下するかで、これは小説家には必要ないですよね(笑)


「発言小町は釣りばかり」という誤解と、釣りばかりが人気になる理由 - Togetterまとめより引用。

 


僕はこのお話、小説書く上で、大事なことかもしれないと思いました。 

読者の反応を見て、『追加燃料を投下する』というのは、小説や物語を面白くする手法で、小説では田中芳樹の『銀河英雄伝説』の主人公の一人、ラインハルトの親友、盟友キルヒアイスが、ラインハルトを守ろうとして、物語序盤で亡くなってしまいます。


アニメでは『天元突破グレンラガン』の主人公シモンは、兄貴のカミナの死をなかなか乗り越えられないです。

最近では、キルラキルの主人公、纏流子が父親を殺した“片太刀バサミの女”を追って、本能字学園に転校してくることから物語がはじまります。

だいたい、こういう展開は、読者の望むものではないですが、キルヒアイスもカミナも、伝説のキャラになって、絶大な人気が出てしまいます。

読者が望まない、意外で劇的な展開も、小説を面白くするには必然的に必要になります。

これが行き過ぎると『いったん殺した主要キャラが甦る』という展開になったりしますが、それはやりすぎると良くないし、必然的な流れがあれば、それなりに読者も納得はして、成功すると思います。

主要キャラの死は、小説家書きにとっての『炎上』みたいな手法かもしれません。


『釣り』を見抜く方法として、トピシュさんが指摘する『釣り師』の特徴的な行動があります。

『相談後の進展が早く、展開がドラマチックすぎる』

『相談者が週末になると「続きます」とか言って、今後の展開、次回の予告をする』


ちょっと、笑ってしまいますが、そういわれてみれば、おかしな話です。

でも、これって、小説を書く上では、非常に大切ですね。

小説においては、読者を惹きつける最初の話は劇的でないといけません。そこからの展開も早い方がいいし、序盤は面白いストーリーを展開して、読者もついて落ち着いてきたら、キャラの紹介も兼ねた、小さな話を積み重ねるというのがいいでしょう。

人気キャラの外伝とか書いて、作品の幅を広げるのもいいでしょう。


物語が続く節々では、主人公がピンチに陥って、次回どうなるんだ?という『地獄の引き』を作って、次回はどうなるのか?読者に期待させる手法も重要です。

週間連載してる『ジャンプ』などでは、おなじみのやり方です。

『釣り師』が小説家を目指してるというのは、案外、当たってるかもしれないと思ったりします。


 

小説家になるための戦略ノートより転載。

 

 

 

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