新世紀の生き方、物語の世界

栗本慎一郎の経済人類学、白川静の漢字学、日本の古代史、日本人の起源論、小説や好きな本の話題など書いていきます。何ですが、ニュースとか、ネットの話題も多いです。

日本の新興宗教の原点と、平井和正の『幻魔大戦』

◇ 佐々木俊尚さん@幸福の科学対談の炎上余波で何故か田原総一朗さんまで登場: やまもといちろうBLOG(ブログ)という記事を読んだら、日本の新興宗教の原点を語りたくなりました。

出口王仁三郎 - Wikipedia


この方が『大本』(教)なる団体を設立しまして(教は本当はつかないらしい)、メディアなどを利用して教団(本当は教団ではないかも?)を大きくするする手法を確立したりしました。自前で新聞とか発行してたので、あまりにもその影響力が大きすぎて、当局というか、日本政府(内務省)から教団施設をつぶされるという事件まで起きたりします。教祖自身も投獄されたりします。

この教団の内容について、非常に興味深いのですが、深くは突っ込まずw この教団の幹部というか、弟子たちから、後の新興宗教の教祖が輩出されます。

新興宗教の『虎の穴』というか、『マネーの虎』というか、新興宗教界の吉田松陰というような存在です。ちょっと注目するべき宗教団体だったと思います。 

しかし、「生長の家」を創立した谷口雅春をはじめ、「世界救世教」の教祖である岡田茂吉、「三五(あなない)教」の中野与之助、「神道天行居(しんとうあまのゆきだて)」の友清歓真(ともきよのりさね)などがいずれも、かつては王仁三郎の弟子であり、大正期の大本教の青年幹部を務めた事実を知れば、大本教がまさに現代宗教の「おおもと」であったことがわかる。さらに、念写の福来友吉と並ぶ「心霊学」の大家であった浅野和三郎や、合気道の開祖として知られる植芝盛平らも王仁三郎の右腕であったと聞けば、今さらながらに「日本霊学のダム」としての大本教の巨大さを思い知らされる。
http://www.heisei-shin.com/writings_box/religion_page/religion_21_7.html

 


さて、話は変わりましてw 高橋信次 (宗教家) - Wikipediaという方がいます。


たぶん、この方が『幸福の科学』のモデルになった宗教家だと思います。理系的都会派&異言的宗教のスタイルを確立したと思います。と思ったら、勘が当たってこんな情報がw

幸福の科学教団の創成期において、総裁の大川隆法が、高橋信次の「法の後継者」であると主張した。しかし、1987年6月発刊の『太陽の法』の記述では、高橋信次の「霊界通信」で「GLAは、おまえを必要としない。おまえはおまえの道を切り拓け」と告げたとしており、独自の路線を進む指針を展開しはじめた[2]。その後1994年には「方便の時代は終わった」という法話をし、高橋の霊言には嘘や誤魔化しがあるとして、GLAの影響を消すための教義および用語の改訂が実施されている[3]
http://ja.wikipedia.org/wiki/GLA%E7%B3%BB%E8%AB%B8%E6%95%99%E5%9B%A3

 


つまり、発言傾向は科学的、理論的なものを装いながら(結構、理系とか頭のいい人が信者になってしまう)、亡くなった霊界の偉人や天使が降りてきて、預言を語るというスタイルです。スティーブ・ジョブスの霊言まであるとは。


高橋信次の長女『高橋佳子』がこの団体を継いで、『GLA』という宗教団体ができます。小説家『平井和正』は、どうも、この『高橋佳子』の3部作の代表作の編集協力(たぶん、ゴーストライターでもある)したことで、この宗教団体に関わることになったようです。真相は僕はあまり追及してませんが、調べたらでてきます。たぶん。でてきた。

1976年(昭和51年)、GLAの高橋佳子と出会う。人生観の激変により、当時執筆中だった『アダルト・ウルフガイ』シリーズも路線変更となった(『人狼白書』以降)。一時期はGLAに関わり、高橋佳子の著書『真創世記』の編集協力も務めた。その後、宗教団体とは距離を置くことになるが、作品には作者の宗教観が反映されるようになる。『人狼白書』から『真幻魔大戦』(後述)にかけての時期は「天使の時代」と呼ばれる。
平井和正 - Wikipedia


結論を言えば、この高橋信次は、平井和正の大ヒット作の『幻魔大戦』の主人公『東丈』(あずまじょう)のモデルというか、だから、主人公の東丈は、話の途中で行方不明になるのです。実は高橋信次が亡くなって、混乱した教団は分裂し、長女の『高橋佳子』を後継者と仰いだ信者たちが『GLA』に集まってきます。『GLA』が本流かな。

主人公の東丈が設立した、幻魔への対抗集団「GENKEN」=『GLA』がモデルなんです。で、『高橋佳子』=幻魔大戦の東丈秘書グループの『井沢郁江』なんだろうと思います。東丈失踪後、「GENKEN」の会長代理になった『井沢郁江』の独断専行で、「GENKEN」が混乱するというストーリー展開があるので。

幻魔大戦シリーズ - Wikipediaは、映画化された頃は、石ノ森章太郎平井和正が共作だったのですが(はじめて知ったw 宇宙戦艦ヤマトも共作パターンですね)、平井和正の小説は独自展開して、『GLA』という実在の宗教団体の体験がベースになって、ストーリーが展開してしまったという、非常に珍しい小説です。


平井和正は、少年時代学研の『ムー』を愛読していたオカルト少年だった僕が、一番好きだったSF作家です。今でも好きです。

『ウルフガイ』、『ゾンビハンター』、『幻魔大戦』も傑作だったし、でも、いつのまにか読まなくなって、高3の時に、栗本慎一郎の経済人類学を読み始めて、栗本薫(彼女も平井和正ファンで、平井を『言霊使い』と命名したのも彼女)の『グイン・サーガ』とか、半村良の『闇の中シリーズ』とか、『伝説シリーズ』も読むようになって、夢枕獏とかも読み始めて。

1985年(昭和60年)、「犬神明の言霊が来た」という理由で『真幻魔大戦』を突如中断し、それまで同作が連載されていた『SFアドベンチャー』誌に『黄金の少女』を連載開始。これにより、『ウルフガイ』シリーズ再開となった。幻魔大戦シリーズ - Wikipedia


たぶん、こんな平井和正についていけなくなったんだと思いますw

 

でも、『幻魔大戦Deep』とか、『幻魔大戦』の続きは、電子書籍で出てるらしくて、また、読んでみようかなと思ってたりします。


いろんな意味で平井和正は凄い作家です。

最初に読むのは、やっぱりこのあたりがいいでしょうね。
ウルフガイシリーズの最初の本です。

 

 

狼の紋章 (ウルフガイ)

狼の紋章 (ウルフガイ)